「斎藤 真理子」の検索結果 : 16件

韓国SFが描く新しい価値観、新しい世界、新しい言葉ーーキム・ボヨン『どれほど似ているか』解説「わたしたちが手をつなぐために」(池澤春菜)

韓国ではいまSF小説が活況を呈しています。韓国SFのはじまりは、1960年代。韓国初の長篇SFとされる『完全社会』(ムン・ユンソン/未邦訳)は、朝鮮戦争から十数年後の軍事独裁体制下に発表され、男女間戦争の末に女性だけが残った世界を描き、それは、当時の男性中心の社会規範を転覆させる想像力による衝撃的な

674階建巨大タワー国家を舞台にした韓国SFの金字塔が斎藤真理子訳で刊行!

地上からの脅威が迫り、下層階を軍隊、上層階を富裕層が占める巨大タワー国家〈ビーンスターク〉をめぐる、韓国SFの金字塔となる作品『タワー』(ペ・ミョンフン著/斎藤真理子訳)を発売いたしました。本書の「訳者あとがき」で、斎藤真理子さんは以下のように本作を評しています。本作の魅力を伝える文章だと思うので、

本読み河出スタッフが選んだ、2021年の本(他社本もあるよ!)

今年もまるまる1年、大変な年でした。河出書房新社は幸運なことに、困難はありつつも、例年通りの出版活動に勤しむことができましたが、「本なんか読む余裕ないよ」という方も多くいらしたことでしょう。年末年始くらい、一人でも多くの方が、穏やかにお過ごしになれますように。 もし、一息つけるひとときに、

心の地下の扉が、その衝撃で開いてしまいそうだ──クォン・ヨソン『まだまだという言葉』書評│評・頭木弘樹

ここにいない人たちの大きさ  車にはねられて入院している人が「すごく痛かった」と体験を語ったとき、お見舞いの人がどんなに無神経だったとしても、「私もむこうずねをテーブルにぶつけて痛かったことがあるから、わかる」などと返事することはまずない。痛みの度合がはるかにちがうだろうくらいは誰でもわか

14キロ痩せに成功した本から、ジャンプコミックスまで 本読み河出スタッフが選んだ、2020年の本(他社本もあるよ!)

2020年は池澤夏樹=個人編集 日本文学全集が完結した年でもありました。大変な年でした、2020年。  不要不急の代表のような出版業を商う河出書房新社、そんな今年も平時には及ばないものの、近い数の書籍を刊行することができました。なんと600点弱…! 受け止めてくださった読者の皆様のおかげです。ありが

「目盛りをゼロに戻せる人」ーーイ・ラン『アヒル命名会議』訳者あとがき

イ・ラン『アヒル命名会議』訳者あとがき斎藤真理子  イ・ランさんは「目盛りをゼロに戻せる人」みたいに思える。いろんな知識をいっぱい蓄えていると思うけど、それらはいったん無に戻し、自分だけのゼロ地点から考えを組み立てられる人。というか、それ以外のやり方をしない人。 本書の「私は今日聞いた」に、こんな一

稀代のアーティスト、イ・ランがコロナ禍の日本の読者へ贈ることば

 『アヒル命名会議』日本語版作家のことば「名づけること」が生涯の夢イ・ラン  コロナ時代が始まった3月から、手の先がしびれて冷えたり、夜中に目が覚めて、ばっと起き出して泣いたりする日がときどきあります。同じニュースをくり返し見て、メッセンジャーに毎日飛んでくる数字を読み、声に出し

いま韓国文学を語るのに欠かせない女性作家の代表作がついに刊行

 訳者あとがき 本書は、二〇一六年に文学と知性社より刊行されたチョン・イヒョンの短編集『優しい暴力の時代』の全訳に、二〇〇七年に文学と知性社から刊行された短編集『今日の嘘』所収の「三豊百貨店」を加えて一冊としたもので、日本版オリジナル編集である。 チョン・イヒョンの代表作であり、二〇〇〇年

「私と友人たちは以前から、ゆっくり、死につづけてきたみたいだ」ーーアジアの作家たちは新型コロナ禍にどう向き合うのか。「文藝」夏季号の緊急特集を無料公開。韓国のシンガーソングライターにして作家、イ・ラン「コロスウイルス」。

4月7日に発売された「文藝」夏季号での緊急特集「アジアの作家たちは新型コロナ禍にどう向き合うのか」。発売前の公開が話題となった、閻連科さん「厄災に向き合って――文学の無力、頼りなさとやるせなさ」に続き、中国の陸秋槎さん、韓国のイ・ランさん、台湾の呉明益さん、タイのウティット・ヘーマムーンさん、日本の

『完全版 韓国・フェミニズム・日本』責任編集・斎藤真理子さんによる「巻頭言」全文公開

 未来から見られている斎藤真理子 雑誌は生きものとよく言われるが、その通りだった。二〇一九年七月に発売された『文藝』秋季号(特集「韓国・フェミニズム・日本」)が異例の増刷となり、とうとう創刊以来八六年ぶりの三刷が決まったとき、私も驚いたが編集部も驚いていた。生きものなのでその勢いを予測する

文芸季評 山本貴光「文態百版」:2018年12月~2019年3月 女の地獄巡り・言語・技術的無意識

1 評する者が評される文章を読み始める。書き手の言葉の調子と、読み手の意識の状態とは大きさと回転速度の違う二つの歯車のようだ。はじめはどこで接し合えばよいか分からず、それでも読み進めるうちにやがて眼や意識が文章に慣れて歯車がかみ合いぐんぐん先へ運ばれていくこともあれば、どこまで行ってもちぐはぐでガタ

友達に代わっての生活──ハン・ガン『すべての、白いものたちの』書評/評者=イ・ラン

 この本は、一二八週間前の二〇一六年六月一二日に死んだ私の友達が最後まで読んでいた本だ。主(あるじ)なく部屋に残されたかばんを、友達をずっと記憶しておくためにそのまま持ってきた。その中には、病んだ自分の体調を記録した紙や、半透明の薬の袋などが転がっていた。そしてハン・ガンの小説『すべての、白いものた

本読み河出スタッフが選んだ、2018年の本(他社本もあるよ!)

本年も河出書房新社の本をお読みいただき、誠にありがとうございました。本の会社の人は、やっぱりみんな本が好き。昨年に引き続き、「今年どんな本読んだ?」と聞いてみたら、いろんな本が熱いレビューつきでどっさり届きました。年の瀬に、自社・他社問わず、河出のスタッフが大いに感銘を受けた今年の本をご紹介いたしま

文芸季評 山本貴光「文態百版」:2018年6月〜2018年8月

初出=「文藝」2018年冬季号(第1回/第2回) 1 技術今日の文学は技術を書いていなければ十分ではない。かつてそのような意味のことを述べた作家がいた。なぜ技術かといえば、事実として現在私たちが生きている環境の少なからぬ部分が技術によってできているからだ。居住、食事、移動、通信、労働、娯楽、創作、研

文芸季評 山本貴光「文態百版」:2017年12月〜2018年2月(その1)

初出=「文藝」2018年秋季号1.なぜいま文芸時評か これからこの場をお借りして文芸時評を始める。「文藝」といえば一九三三年創刊の古い歴史をもつ文芸誌(編集主任=上林暁、改造社)。そのような場所で、もとより文芸の専門家ではない身としてはおこがましい限りだけれどそこはそれ。土地に不慣れな者の

1980年代ってどんな時代だったの?

『1980年代』斎藤美奈子/成田龍一編著『1980年代』斎藤美奈子+成田龍一 【はじめに】なぜいま「一九八〇年代」か ■それはどんな時代だったか一九八〇年代に、あなたはどんなイメージを持っているでしょう。世の中全体が浮かれていたバブルの時代。サッチャリズム、レーガノミックスが台頭

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